2012年05月21日
相続手続の話 その5 不動産の相続手続
こんにちは
行政書士の酒井です。
今朝は、金環日食の話題で持ち切りでしたが、あまり天気が良くなかったですね。
観察するつもりもなかったので、専用グラスなど用意していなかったのですが、
実際時間になったら気になって窓を開けて見ようとしてしまいました
肉眼ではまぶしくて見られたものではありませんでしたが、通常よりちょっと暗いかなというのだけは確認できました
(曇で薄暗いのか、日食で薄暗いのかは定かではありませんが・・・)
ちゃんと、観察用のグラスを用意しておけばよかったです・・・
次に見られるときは何歳なんでしょうね・・・
さて、今日は、不動産の相続手続について書いてみます。
不動産の相続といえば、「登記手続」が必要になります。
登記手続きは専門家に依頼しなければ難しいと思っている方も多いと思いますが、時間的余裕がある方は法務局のホームページの申請書雛形を参考にして、ご自身で手続することも不可能ではありません。(場合によっては非常に難しいこともありますが・・・)
前回も挙げた比較的簡単な事案を例に挙げて説明していきます。

Aが亡くなった場合、相続人は配偶者Bと子の甲、乙、丙の4人で、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になり(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)Aの残した不動産が、「自宅建物とその敷地」だったとします。
法定相続分で登記することもできますが、今回は遺産分割協議(遺産分割協議については前回の記事へ)をして、配偶者Bと子の甲が、自宅建物とその敷地を2分の1ずつ相続するということにします。
相続登記申請手続きの添付するものは以下のとおりです。
①相続を証する情報
亡きAの相続関係を証する戸籍類
(相続に必要な戸籍類については以前の記事へ)
②登記原因証明情報
遺産分割協議書のことです。相続人全員の印鑑証明書の添付が必要です。
③住所証明書
相続人の住民票の写し
上記の戸籍類は税務申告や預金の解約など他の手続でも使用できるので、原本還付請求をしますが、原本還付請求をするには相続関係説明図を作成しておくと便利です。これにより戸籍類すべてをコピーして原本証明する必要はなくなります。
登記原因証明情報は遺産分割協議書ですが、これはコピーして原本証明することで原本還付請求できます。
これら以外に、添付すべきものとしては、「固定資産評価証明書」(市町村役場で取得)が必要です。申請書に「固定資産評価証明書」と記載する必要はありませんが、これは登録免許税の算定に使用します。相続登記の登録免許税は評価額×4/1000で算定します。登録免許税は、収入印紙を貼付することで納めます。(法務局で販売しています)
これらの書類が揃ったら、あとは申請書を作成します。
この事案の申請書は下記のようになります。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
登 記 申 請 書 ※1
登記の目的 所有権移転 ※2
原 因 平成24年○月○日相続 ※3
相 続 人 (被相続人 A)
沖縄市□□一丁目12番3号
持分2分の1 B
沖縄市□□一丁目12番3号
持分2分の1 甲 ※4
添付書類
相続を証する情報(原本還付請求)
登記原因証明情報(原本還付請求)
住所証明書(原本還付請求) ※5
その他の事項
送付の方法により、登記識別情報、登記完了証の交付及び相続を証する情報、登記原因証明情報、 住所証明書の還付を希望します。
(送付先)沖縄市□□一丁目12番34号 B 沖縄市□□一丁目12番34号 甲 ※6
平成24年△月△日申請 那覇地方法務局 (○○支局) ※7
課税価格 金3,000万円 ※8
登録免許税 金12万円 ※9
不動産の表示
所 在 沖縄市□□一丁目
地 番 12番3
地 目 宅地
地 積 345㎡67
この価格 金2,000万円
所 在 沖縄市□□一丁目12番地3
家屋番号 12番3
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
床面積 1階 123㎡45
2階 67㎡89
この価格 金1,000万円 ※10
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
※1は、申請書のタイトルです。相続に限らず、登記申請する場合は冒頭に「登記申請書」と記載します。
※2は、登記の目的を書きます。Aの持分を相続する場合や「A持分全部移転」や地上権など所有権以外の権利を相続する場合などいくつかのバリエーションもありますが、単独所有の不動産を相続で移転する場合は「所有権移転」と書けば足ります。
※3は、原因日付です。Aが亡くなった日を記載します。取得した除籍謄本などで確認して記入します。
※4は、相続人の表示です。まず亡くなったAを(被相続人A)と記載します。続いて相続人となるものの住所と氏名を記載します。今回はBと甲の共同相続なので、持分を記載します。単独での相続の場合は持分の記載は必要ありません。住所は住民票に記載されたものをよく確認して間違いがないように記入します。
※5は、添付書類を列記します。上で述べた「固定資産評価証明書」は添付が必要ですが、記載しません。
不動産の所有権を売買や贈与で移転する場合、権利証(登記済証または登記識別情報)を添付等する必要がありますが、相続の場合は権利証の添付は不要です。
※6は、その他の事項ですが、これは郵送で登記後に還付する書類や、権利証(登記識別情報)を法務局から送ってもらう場合に必要となります。法務局に出向いて受け取る場合には必要ありません。
※7は、申請日です。法務局に出向いて持ち込む場合には、その日付を記入します。郵送で送る場合は空白で送れば良いです。
※8は、課税価額です。固定資産評価証明書に記載されている評価額を記載します。複数の不動産を一括で申請する場合は合計額を記入します。
※9は、納める登録免許税を記入します。評価額 × 4/1000で算出します。
この事案では、端数がありませんが、端数処理の例は、例えば評価額12,345,678円だったとすると、1,000円以下を切り捨て、12,345,000円とし、これに4/1000を乗じて、49,380円。更に10円以下を切り捨て、49,300円が登録免許税となります。
不動産が複数の場合はすべての評価額を合計した後に上記の処理をします。
※10は不動産の表示です。上記の記載例のように記載します。不動産が10、20とあっても相続人が同じであれば一括で申請可能です。
登記申請書は、記載する文字はそんなに多くありませんが、書き間違いなどには厳格ですので、戸籍、住民票、登記事項証明情報等をよく見て誤りのないように記載してください。迷ったときは法務局の相談窓口でも親切に教えてくれると思います。
ちょっと細かい情報もありますが、参考にしてみてください。
ではまた
↓当事務所のホームページ↓
行政書士の酒井です。
今朝は、金環日食の話題で持ち切りでしたが、あまり天気が良くなかったですね。
観察するつもりもなかったので、専用グラスなど用意していなかったのですが、
実際時間になったら気になって窓を開けて見ようとしてしまいました

肉眼ではまぶしくて見られたものではありませんでしたが、通常よりちょっと暗いかなというのだけは確認できました
(曇で薄暗いのか、日食で薄暗いのかは定かではありませんが・・・)ちゃんと、観察用のグラスを用意しておけばよかったです・・・

次に見られるときは何歳なんでしょうね・・・
さて、今日は、不動産の相続手続について書いてみます。
不動産の相続といえば、「登記手続」が必要になります。
登記手続きは専門家に依頼しなければ難しいと思っている方も多いと思いますが、時間的余裕がある方は法務局のホームページの申請書雛形を参考にして、ご自身で手続することも不可能ではありません。(場合によっては非常に難しいこともありますが・・・)
前回も挙げた比較的簡単な事案を例に挙げて説明していきます。

Aが亡くなった場合、相続人は配偶者Bと子の甲、乙、丙の4人で、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になり(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)Aの残した不動産が、「自宅建物とその敷地」だったとします。
法定相続分で登記することもできますが、今回は遺産分割協議(遺産分割協議については前回の記事へ)をして、配偶者Bと子の甲が、自宅建物とその敷地を2分の1ずつ相続するということにします。
相続登記申請手続きの添付するものは以下のとおりです。
①相続を証する情報
亡きAの相続関係を証する戸籍類
(相続に必要な戸籍類については以前の記事へ)
②登記原因証明情報
遺産分割協議書のことです。相続人全員の印鑑証明書の添付が必要です。
③住所証明書
相続人の住民票の写し
上記の戸籍類は税務申告や預金の解約など他の手続でも使用できるので、原本還付請求をしますが、原本還付請求をするには相続関係説明図を作成しておくと便利です。これにより戸籍類すべてをコピーして原本証明する必要はなくなります。
登記原因証明情報は遺産分割協議書ですが、これはコピーして原本証明することで原本還付請求できます。
これら以外に、添付すべきものとしては、「固定資産評価証明書」(市町村役場で取得)が必要です。申請書に「固定資産評価証明書」と記載する必要はありませんが、これは登録免許税の算定に使用します。相続登記の登録免許税は評価額×4/1000で算定します。登録免許税は、収入印紙を貼付することで納めます。(法務局で販売しています)
これらの書類が揃ったら、あとは申請書を作成します。
この事案の申請書は下記のようになります。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
登 記 申 請 書 ※1
登記の目的 所有権移転 ※2
原 因 平成24年○月○日相続 ※3
相 続 人 (被相続人 A)
沖縄市□□一丁目12番3号
持分2分の1 B
沖縄市□□一丁目12番3号
持分2分の1 甲 ※4
添付書類
相続を証する情報(原本還付請求)
登記原因証明情報(原本還付請求)
住所証明書(原本還付請求) ※5
その他の事項
送付の方法により、登記識別情報、登記完了証の交付及び相続を証する情報、登記原因証明情報、 住所証明書の還付を希望します。
(送付先)沖縄市□□一丁目12番34号 B 沖縄市□□一丁目12番34号 甲 ※6
平成24年△月△日申請 那覇地方法務局 (○○支局) ※7
課税価格 金3,000万円 ※8
登録免許税 金12万円 ※9
不動産の表示
所 在 沖縄市□□一丁目
地 番 12番3
地 目 宅地
地 積 345㎡67
この価格 金2,000万円
所 在 沖縄市□□一丁目12番地3
家屋番号 12番3
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
床面積 1階 123㎡45
2階 67㎡89
この価格 金1,000万円 ※10
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
※1は、申請書のタイトルです。相続に限らず、登記申請する場合は冒頭に「登記申請書」と記載します。
※2は、登記の目的を書きます。Aの持分を相続する場合や「A持分全部移転」や地上権など所有権以外の権利を相続する場合などいくつかのバリエーションもありますが、単独所有の不動産を相続で移転する場合は「所有権移転」と書けば足ります。
※3は、原因日付です。Aが亡くなった日を記載します。取得した除籍謄本などで確認して記入します。
※4は、相続人の表示です。まず亡くなったAを(被相続人A)と記載します。続いて相続人となるものの住所と氏名を記載します。今回はBと甲の共同相続なので、持分を記載します。単独での相続の場合は持分の記載は必要ありません。住所は住民票に記載されたものをよく確認して間違いがないように記入します。
※5は、添付書類を列記します。上で述べた「固定資産評価証明書」は添付が必要ですが、記載しません。
不動産の所有権を売買や贈与で移転する場合、権利証(登記済証または登記識別情報)を添付等する必要がありますが、相続の場合は権利証の添付は不要です。
※6は、その他の事項ですが、これは郵送で登記後に還付する書類や、権利証(登記識別情報)を法務局から送ってもらう場合に必要となります。法務局に出向いて受け取る場合には必要ありません。
※7は、申請日です。法務局に出向いて持ち込む場合には、その日付を記入します。郵送で送る場合は空白で送れば良いです。
※8は、課税価額です。固定資産評価証明書に記載されている評価額を記載します。複数の不動産を一括で申請する場合は合計額を記入します。
※9は、納める登録免許税を記入します。評価額 × 4/1000で算出します。
この事案では、端数がありませんが、端数処理の例は、例えば評価額12,345,678円だったとすると、1,000円以下を切り捨て、12,345,000円とし、これに4/1000を乗じて、49,380円。更に10円以下を切り捨て、49,300円が登録免許税となります。
不動産が複数の場合はすべての評価額を合計した後に上記の処理をします。
※10は不動産の表示です。上記の記載例のように記載します。不動産が10、20とあっても相続人が同じであれば一括で申請可能です。
登記申請書は、記載する文字はそんなに多くありませんが、書き間違いなどには厳格ですので、戸籍、住民票、登記事項証明情報等をよく見て誤りのないように記載してください。迷ったときは法務局の相談窓口でも親切に教えてくれると思います。
ちょっと細かい情報もありますが、参考にしてみてください。
ではまた

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2012年05月16日
相続手続の話 その4 遺産分割協議
こんにちは
行政書士の酒井です。
ちょっとご無沙汰でしたが、今日は遺産分割協議について書いてみます。
前回、相続人となる人の範囲と法定相続分について書きましたが、
法定相続分というのは、法律で一律に決められた割合であって、それぞれの事案にぴったりはまるというものではありません。
次の関係図は前回示したものの中の一つですが、これを例にとって解説していきます。

Aが亡くなった場合、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になります。(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)
このB6分の3とか、甲6分の1というのは、相続財産全部に対する割合です。
Aの残した遺産が、自宅の建物(2,000万円)、その敷地(2,000万円)、預貯金(1,500万円)、株(1,000万円)、自動車(300万円)、賃貸用アパート(2,200万円)だったとすると、法定相続分で相続するとすれば、現金や株は分けることができますが、建物、土地、自動車など物理的に分けることができないものについては法定相続分で共有することになります。
共有というのは処分するにも、利用するにも、なかなか不便なものですから、特別な場合を除けば避けたいと誰しも思いますよね?なので、法定相続分で共有するのではなく、自宅建物と敷地はB、預貯金は甲、株は乙という様に、それぞれの財産を各相続人が単独で相続したいと考えます。そこで必要になるのが「遺産分割協議」です。
遺産分割協議は、相続権を有する相続人全員の同意で成立します。
上記の総額は9,000万円で、各相続人の法定相続分を金額であらわすと、
B4,500万円、甲1,500万円、乙1,500万円、丙1,500万円となりますが、遺産分割協議の内容は自由ですから、「全財産を甲が相続する」ということにしても、Bと乙と丙が同意すれば問題なく協議が成立します。
「丙はうるさいことを言って話がまとまらないから、あいつは呼ばないでおこう!」
などということは協議が無効になりできません。
強引に一部相続人を無視して手続を進めても、不動産や自動車の名義を変更する場面で、遺産分割協議書にすべての相続人(厳密にいうと財産をもらうだけの相続人は不要です。例としては、「甲がすべての財産を相続する」という遺産分割協議書に甲の印鑑証明書は不要。)の印鑑証明書を添付する必要があるので、手続が完了できないようになっています。
相続人であっても、「相続放棄」した人は遺産分割協議に参加しなくてもいいのですが、単に「何もいらない」といっただけで、裁判所に相続放棄の申述をしていない人は遺産分割協議に参加しなくてよいということにはならず、遺産分割協議に参加する必要があります。
「相続でもめた」という場合、ほとんどがこの遺産分割協議で話がまとまらないことを指します。
例えば、Aが亡くなり、その配偶者Bと甲はAと同居していて、自宅で一緒に事業を営んでいた。また、甲はA亡き後、親であるBの面倒をみるというような場合、預貯金も相続したいと考えることもあります。乙と丙が「兄甲は母親Bの面倒も見てくれるし、跡も継いだから多く相続すればいいよ」とすんなりいけばいいのですが、なかなかそういうわけには行かないのが現実です。
相続人間で意見が対立し遺産分割協議が成立しない場合は、裁判所の調停で分割方法を話し合ったり、審判で裁判所に分割してもらうこともできます。それでもダメなら裁判ということになってしまいます。
こういう事態は往々にして起こり得ますので、遺言書を残しておくのが良いとおもいます。
無事に遺産分割協議が成立したら、これを書面にしておく必要があります。これが「遺産分割協議書」と呼ばれるものです。
この書面は、不動産の登記や預貯金の解約、自動車の名義変更など様々な場面で必要な重要な書類です。
以下は記載例の一つです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
1.相続財産中、次の財産は、相続人 B が相続する。
○○市○○○○12番 宅地 543㎡21
○○市○○○○12番地 家屋番号12番
居宅 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
床面積 1階 123㎡45 2階 34㎡56
2.相続財産中、次の財産は、相続人 甲 が相続する。
省略
3.相続財産中、次の財産は、相続人 乙 が相続する。
省略
4.相続財産中、次の財産は、相続人 丙 が相続する。
省略
5.今後判明したる財産(債務を含む)は、相続人 B が相続する。
平成 年 月 日
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
甲乙丙の相続する財産の表示は省略していますが、それそれが相続した財産を記載しておきます。
不動産の表示など相続財産を特定する記載は誤りがあると手続に使えなくなり、協議書の作り直しになってしまうこともあるので注意が必要です。
遺産分割協議に参加した相続人は署名の横に実印で押印し、印鑑証明書を添付して完成です
当事務所は、遺産分割協議書作成サポートを承っています。
お気軽にお問い合わせください
次回は、不動産の相続手続について書きます。
ではまた
<補足>
遺産分割協議は、相続開始からいつまでにしなければならないという決まりはありませんが、相続税の申告書の提出期限が、相続開始を知った日から10ヶ月以内なので、それまでに協議を成立させたほうが良いといえます。協議が成立していないと申告できないわけではないのですが、相続税の申告にあっては、遺産分割が成立している事により適用が受けられるメリットもあるのでなるべく早めにやっておくことをお勧めします。
↓当事務所のホームページ↓
行政書士の酒井です。
ちょっとご無沙汰でしたが、今日は遺産分割協議について書いてみます。
前回、相続人となる人の範囲と法定相続分について書きましたが、
法定相続分というのは、法律で一律に決められた割合であって、それぞれの事案にぴったりはまるというものではありません。
次の関係図は前回示したものの中の一つですが、これを例にとって解説していきます。

Aが亡くなった場合、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になります。(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)
このB6分の3とか、甲6分の1というのは、相続財産全部に対する割合です。
Aの残した遺産が、自宅の建物(2,000万円)、その敷地(2,000万円)、預貯金(1,500万円)、株(1,000万円)、自動車(300万円)、賃貸用アパート(2,200万円)だったとすると、法定相続分で相続するとすれば、現金や株は分けることができますが、建物、土地、自動車など物理的に分けることができないものについては法定相続分で共有することになります。
共有というのは処分するにも、利用するにも、なかなか不便なものですから、特別な場合を除けば避けたいと誰しも思いますよね?なので、法定相続分で共有するのではなく、自宅建物と敷地はB、預貯金は甲、株は乙という様に、それぞれの財産を各相続人が単独で相続したいと考えます。そこで必要になるのが「遺産分割協議」です。
遺産分割協議は、相続権を有する相続人全員の同意で成立します。
上記の総額は9,000万円で、各相続人の法定相続分を金額であらわすと、
B4,500万円、甲1,500万円、乙1,500万円、丙1,500万円となりますが、遺産分割協議の内容は自由ですから、「全財産を甲が相続する」ということにしても、Bと乙と丙が同意すれば問題なく協議が成立します。
「丙はうるさいことを言って話がまとまらないから、あいつは呼ばないでおこう!」
などということは協議が無効になりできません。
強引に一部相続人を無視して手続を進めても、不動産や自動車の名義を変更する場面で、遺産分割協議書にすべての相続人(厳密にいうと財産をもらうだけの相続人は不要です。例としては、「甲がすべての財産を相続する」という遺産分割協議書に甲の印鑑証明書は不要。)の印鑑証明書を添付する必要があるので、手続が完了できないようになっています。
相続人であっても、「相続放棄」した人は遺産分割協議に参加しなくてもいいのですが、単に「何もいらない」といっただけで、裁判所に相続放棄の申述をしていない人は遺産分割協議に参加しなくてよいということにはならず、遺産分割協議に参加する必要があります。
「相続でもめた」という場合、ほとんどがこの遺産分割協議で話がまとまらないことを指します。
例えば、Aが亡くなり、その配偶者Bと甲はAと同居していて、自宅で一緒に事業を営んでいた。また、甲はA亡き後、親であるBの面倒をみるというような場合、預貯金も相続したいと考えることもあります。乙と丙が「兄甲は母親Bの面倒も見てくれるし、跡も継いだから多く相続すればいいよ」とすんなりいけばいいのですが、なかなかそういうわけには行かないのが現実です。

相続人間で意見が対立し遺産分割協議が成立しない場合は、裁判所の調停で分割方法を話し合ったり、審判で裁判所に分割してもらうこともできます。それでもダメなら裁判ということになってしまいます。
こういう事態は往々にして起こり得ますので、遺言書を残しておくのが良いとおもいます。
無事に遺産分割協議が成立したら、これを書面にしておく必要があります。これが「遺産分割協議書」と呼ばれるものです。
この書面は、不動産の登記や預貯金の解約、自動車の名義変更など様々な場面で必要な重要な書類です。
以下は記載例の一つです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
遺産分割協議書
共同相続人である私達は、次の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。
被相続人の本籍 ○○市○○○○12番地
最後の住所 ○○市○○○○12番地
氏 名 A
相続開始の日 平成 年 月 日
記
1.相続財産中、次の財産は、相続人 B が相続する。
○○市○○○○12番 宅地 543㎡21
○○市○○○○12番地 家屋番号12番
居宅 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
床面積 1階 123㎡45 2階 34㎡56
2.相続財産中、次の財産は、相続人 甲 が相続する。
省略
3.相続財産中、次の財産は、相続人 乙 が相続する。
省略
4.相続財産中、次の財産は、相続人 丙 が相続する。
省略
5.今後判明したる財産(債務を含む)は、相続人 B が相続する。
以上の協議を証するため、この協議書を作成し、各自署名押印する。
平成 年 月 日
住 所 **********番地
氏 名 B
住 所 **********番地
氏 名 甲
住 所 **********番地
氏 名 乙
住 所 **********番地
氏 名 丙
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
甲乙丙の相続する財産の表示は省略していますが、それそれが相続した財産を記載しておきます。
不動産の表示など相続財産を特定する記載は誤りがあると手続に使えなくなり、協議書の作り直しになってしまうこともあるので注意が必要です。
遺産分割協議に参加した相続人は署名の横に実印で押印し、印鑑証明書を添付して完成です

当事務所は、遺産分割協議書作成サポートを承っています。
お気軽にお問い合わせください

次回は、不動産の相続手続について書きます。
ではまた

<補足>
遺産分割協議は、相続開始からいつまでにしなければならないという決まりはありませんが、相続税の申告書の提出期限が、相続開始を知った日から10ヶ月以内なので、それまでに協議を成立させたほうが良いといえます。協議が成立していないと申告できないわけではないのですが、相続税の申告にあっては、遺産分割が成立している事により適用が受けられるメリットもあるのでなるべく早めにやっておくことをお勧めします。
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2012年04月20日
相続手続の話 その3 相続人と法定相続分
こんにちは
行政書士の酒井です。
今回は「相続人」と「法定相続分」について書いてみます。
前回までの記事の要領で、被相続人の相続にかかる戸籍類をすべて集めると、
相続人となるべき人(以下、相続人といいます)を確定することができます。
相続人の順位及び法定相続分は民法に定められていて、以下の表のとおりになります。
【表】

上記の表のルールを、事案に当てはめていけばいいわけですが、ちょっと分かりにくいですよね
具体的な相続関係図を示して、事案で解説していきます。
【図1】

これは、上記の表の①です。
Aが被相続人で、その配偶者Bとの間に甲、乙、丙の子がいるという事案です。
(AとBの間の2本線は、法律上の婚姻関係にあるという意味です。後に1本線も出てきますが、それは事実上の婚姻関係で婚姻届を出していない男女(内縁)をあらわしています。)
Aが亡くなった場合、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になります。(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)
【図1】には、Aの親や兄弟姉妹など他の相続人は書かれていませんが、たとえA死亡時にAの両親や兄弟姉妹がいたとしても、配偶者と子が相続人になる場合は、相続人となることはありません。
当事務所への相続のご相談で、夫の兄弟や親が遺産分割に介入してくるのだが・・・というものがありますが、事実上の問題は別として、法律上は親、兄弟は遺産分割に参加することはできません。
【図2】

これは、表の②の事案で、AとBとの間に子がいない場合です。
この場合、相続人は配偶者のBと直系尊属(この場合はAの親ですが、祖父母も直系尊属です)の甲と乙になります。
配偶者の法定相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1で、直系尊属が複数のときは頭数で除します。
(配偶者B 6分の4、甲乙 それぞれ6分の1)
【図3】

これは、表の③の事案で、AとBとの間に子がなく、直系尊属甲乙も既に死亡している場合です。
この場合、相続人は配偶者のBと兄弟姉妹のXとYになります。
配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1で、兄弟姉妹が複数のときは頭数で除します。
(配偶者B 8分の6、XY それぞれ8分の1)
表②③(図2、3)は子がいない場合ですが、夫婦の財産が、親や兄弟姉妹に相続されるという点に注意が必要です。
仲が円満ならばいいかもしれませんが、円満でない嫁姑で遺産分割協議というような事態になりそうなときは、遺言書を作成しておきましょう。
【図4】

これは、相続人となるべき子の甲が相続放棄、乙がAより先に死亡している場合です。
乙がAより先に死亡している場合、乙は、相続人になることができません。しかし、乙に子Yがいる場合は、Yは乙に代わって代襲相続人となります。また、YもA死亡時に既に死亡している場合は、Yの子が相続人となります。
一方、甲が相続放棄した場合はどうでしょうか?
相続放棄とは、「初めから相続人とならなかったものとみなす。」ものなので、上述の乙がA相続開始時に既に死亡している状況と似ています。ですが、相続放棄の場合は、放棄者以降の相続関係がなくなってしまいますので、甲の子Xは甲を代襲して相続人にはなりません。
図4の場合、Aが死亡して相続人となるのは、配偶者BとAの孫Yの二人となります。
(Bの法定相続分2分の1、Yの法定相続分2分の1)
【図5】

図5は、AB夫婦間の子甲乙のほか、Aと内縁の妻Xとの子Yがいる場合です。
この場合は、Yについての認知があるかどうかで異なってきます。
まず、法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子は、非嫡出子といいます。(Yは非嫡出子)
法律上の夫婦の間に出生した子は嫡出子といいます。(甲乙は嫡出子)
嫡出子に相続権があるのは当然で、相続分は上記表①のとおりですが、非嫡出子はAの認知されていれば相続人となります。ただし、嫡出子と非嫡出子では相続分に差がつけられていて、非嫡出子の相続分は嫡出子のそれの2分の1となります。
上記の事案でAがYを認知しているとして相続分を算出すると、Bの法定相続分10分の5、甲乙の法定相続分はそれぞれ10分の2、Yの法定相続分は10分の1ということになります。
嫡出子と非嫡出子の相続分に差があることについては議論があり、法の下の平等を定めた憲法に反するとして下級審ながら、相続分を平等とする判断もあるので、将来民法が改正され、平等になる可能性も高いです。
ここに示した具体例がすべてではありませんが、相続人になる者の確定について参考になったでしょうか?
相続人となった者は、遺産分割協議へ参加する者ということになります。
次回は、その「遺産分割協議」について書きます。
ではまた
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行政書士の酒井です。
今回は「相続人」と「法定相続分」について書いてみます。
前回までの記事の要領で、被相続人の相続にかかる戸籍類をすべて集めると、
相続人となるべき人(以下、相続人といいます)を確定することができます。
相続人の順位及び法定相続分は民法に定められていて、以下の表のとおりになります。
【表】

上記の表のルールを、事案に当てはめていけばいいわけですが、ちょっと分かりにくいですよね

具体的な相続関係図を示して、事案で解説していきます。
【図1】

これは、上記の表の①です。
Aが被相続人で、その配偶者Bとの間に甲、乙、丙の子がいるという事案です。
(AとBの間の2本線は、法律上の婚姻関係にあるという意味です。後に1本線も出てきますが、それは事実上の婚姻関係で婚姻届を出していない男女(内縁)をあらわしています。)
Aが亡くなった場合、配偶者Bの法定相続分は2分の1、甲乙丙の子らは、2分の1を子の頭数で除した分が法定相続分になります。(B 6分の3、甲乙丙 それぞれ6分の1)
【図1】には、Aの親や兄弟姉妹など他の相続人は書かれていませんが、たとえA死亡時にAの両親や兄弟姉妹がいたとしても、配偶者と子が相続人になる場合は、相続人となることはありません。
当事務所への相続のご相談で、夫の兄弟や親が遺産分割に介入してくるのだが・・・というものがありますが、事実上の問題は別として、法律上は親、兄弟は遺産分割に参加することはできません。
【図2】

これは、表の②の事案で、AとBとの間に子がいない場合です。
この場合、相続人は配偶者のBと直系尊属(この場合はAの親ですが、祖父母も直系尊属です)の甲と乙になります。
配偶者の法定相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1で、直系尊属が複数のときは頭数で除します。
(配偶者B 6分の4、甲乙 それぞれ6分の1)
【図3】

これは、表の③の事案で、AとBとの間に子がなく、直系尊属甲乙も既に死亡している場合です。
この場合、相続人は配偶者のBと兄弟姉妹のXとYになります。
配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1で、兄弟姉妹が複数のときは頭数で除します。
(配偶者B 8分の6、XY それぞれ8分の1)
表②③(図2、3)は子がいない場合ですが、夫婦の財産が、親や兄弟姉妹に相続されるという点に注意が必要です。
仲が円満ならばいいかもしれませんが、円満でない嫁姑で遺産分割協議というような事態になりそうなときは、遺言書を作成しておきましょう。
【図4】

これは、相続人となるべき子の甲が相続放棄、乙がAより先に死亡している場合です。
乙がAより先に死亡している場合、乙は、相続人になることができません。しかし、乙に子Yがいる場合は、Yは乙に代わって代襲相続人となります。また、YもA死亡時に既に死亡している場合は、Yの子が相続人となります。
一方、甲が相続放棄した場合はどうでしょうか?
相続放棄とは、「初めから相続人とならなかったものとみなす。」ものなので、上述の乙がA相続開始時に既に死亡している状況と似ています。ですが、相続放棄の場合は、放棄者以降の相続関係がなくなってしまいますので、甲の子Xは甲を代襲して相続人にはなりません。
図4の場合、Aが死亡して相続人となるのは、配偶者BとAの孫Yの二人となります。
(Bの法定相続分2分の1、Yの法定相続分2分の1)
【図5】

図5は、AB夫婦間の子甲乙のほか、Aと内縁の妻Xとの子Yがいる場合です。
この場合は、Yについての認知があるかどうかで異なってきます。
まず、法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子は、非嫡出子といいます。(Yは非嫡出子)
法律上の夫婦の間に出生した子は嫡出子といいます。(甲乙は嫡出子)
嫡出子に相続権があるのは当然で、相続分は上記表①のとおりですが、非嫡出子はAの認知されていれば相続人となります。ただし、嫡出子と非嫡出子では相続分に差がつけられていて、非嫡出子の相続分は嫡出子のそれの2分の1となります。
上記の事案でAがYを認知しているとして相続分を算出すると、Bの法定相続分10分の5、甲乙の法定相続分はそれぞれ10分の2、Yの法定相続分は10分の1ということになります。
嫡出子と非嫡出子の相続分に差があることについては議論があり、法の下の平等を定めた憲法に反するとして下級審ながら、相続分を平等とする判断もあるので、将来民法が改正され、平等になる可能性も高いです。
ここに示した具体例がすべてではありませんが、相続人になる者の確定について参考になったでしょうか?
相続人となった者は、遺産分割協議へ参加する者ということになります。
次回は、その「遺産分割協議」について書きます。
ではまた

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