こんにちは。
行政書士の酒井です。
台風が過ぎたあとは、大体晴れるものだと思っていましたが、
ずっと雨ですね・・・
私はアパートの屋上に上がってビールを飲むのが好きなのですが、この1週間ぐらいはお預けです。
スカッと晴れて欲しいものです。
さて、しばらく更新していませんでしたが、前回に続き土地の話。
土地を所有していると、土地は持って移動できないので、隣接地などとの関わりは長期間にわたって継続します。
先祖代々同じところに住んでいる方もたくさんいらっしゃると思いますが、隣接地との問題について書いてみます。
まず、境界について。
私は、前職が土地家屋調査士(司法書士、行政書士の合同事務所)の補助者だったのですが、土地の境界を決めるという業務がありました。境界確定といいますが、建物を建てる前に隣地との境界を確認したり、土地を売買したり、土地を分筆したり、地積に誤りがあるので正しい地積に更正したり、さまざまな局面で境界確定は必要となります。
境界確定は、法務局で、登記記録、公図、地積測量図を取得し、現地で境界標を探し(境界標は破損したり、埋め立てで地中深くに埋まっていたり、工事などでなくなっていたりすることもあります)、測量をかけてどこからどこまでがその土地なのか?というのを調べ、隣地所有者、道路管理者、場所によっては道路対側所有者(自分の土地に隣接する道路の反対側の土地)と立会いをして承諾を得て境界を確定します。
法務局の登記記録には、所在地番の他、地目、地積などの情報が書かれています。昔は土地の情報が書かれた紙がバインダーに綴じてあるブック式の登記簿でしたが、現在はコンピュータ化されて、欲しい土地の所在地番を請求用紙に書き込んで法務局窓口に提出すると、紙に打ち出し証明印を押して「登記事項証明書」として出てきます。
名称が変わった今でも、「登記簿謄本」と呼ぶこともありますが、登記事項証明書のことを指しています。
ブック式のころは、登記簿の閲覧を希望すれば、調べたい土地の含まれたブック1冊を法務局内で見ることができたのですが、現在はコンピュータのデータなので閲覧に代わり、「登記事項要約書」というものが用意されています。
登記事項証明書との違いは、情報量が少ないこと(現在の所有者しか載っていないなど)と、手数料が登記事項証明書より安いこと、あと登記事項証明書は、沖縄の土地の証明を、全国の法務局で取得することができますが、登記事項要約書は、もともと閲覧に代わるものなので、登記情報を知りたい土地の所在地の管轄法務局でしか取得できません。
また、要約書には証明印はありません。
証明印が必要ないなら、自宅のインターネット接続されたコンピュータで、要約書と同じくらいの金額で、登記事項証明書と同じ全ての登記情報が閲覧できるので、要約書はあまり有用ではない気がします。
登記情報提供サービス ⇒ http://www1.touki.or.jp/
「公図」というのは、不動産登記法第14条第4項に規定する地図(14条地図)と不動産登記法第14条第4項に規定する地図に準ずる図面のことで、簡単にいうと、土地の形と位置関係を示す図面です。コンピュータ化されていれば、上記の登記情報提供サービスでも閲覧可能です。
14条地図は精度が高く、それに準ずる図面は精度はまちまちです。
沖縄県は測量が進んでいるので、14条地図があるところが多いようですが、大都市の古い街や山林などは、未だに昔の手で書かれた図面をトレースしただけというひどい精度の図面しかないところもあります。
地積測量図は、公図より詳細に一つ一つの土地について境界票の種類、土地の辺長、境界の座標値のデータなどが記載されています。古い地積測量図は座標法ではなく、三斜法で表示されているものもあります。地積測量図は全ての土地にあるわけではなく、分筆登記、地積更正などの申請がされた土地にしかありません。
ところで、登記記録に地積100㎡と書いてあったら、現地に必ず100㎡の面積があると思いますか?
行政の公示が間違っているわけないだろ!と思っている人がいますが、私もこういう仕事をする前は、誤差はともかくとしても、登記記録と現地の実測面積がかけ離れている・・・ということがあるなど思いもしませんでした。
実際は、必ずしも登記記録と現地の実測地積が一致するものではないのです。
愛知県で土地家屋調査士(司法書士、行政書士との合同事務所)の補助者のとき、公図の精度が悪く、地積測量図が無いところの境界確定で、現地で境界と思われるところを基準に測った実測面積と、登記記録の面積が20㎡、30㎡も違うということも結構ありました。
隣の土地の面積が登記記録より多く、自分の土地が登記記録より少ないという場合、地積に注目し公平な結果を得ようとすると、両方の実測面積の割合が登記地積の割合と同等になるところで境界を決めたいところですが、一見、境界に見える位置を動かすことになり非常にややこしい話になります。
つまり、自分が立てたブロック塀が地積を調整するために境界を動かすことで、人の土地に入っているということになるわけです。場合によっては隣地所有者から「ブロック撤去してよ!」と言われることもあります。といって、現にブロックが立っているところを境界に決めるとすれば、実測が登記に足りない方の所有者は納得しません。
境界確定において双方が納得できるところにビシッと決まるということはなかなか無いと思ったほうがよいです。
どちらかの構造物(塀、屋根の軒先など)が隣地に食い込んでいる場合の解決方法としては、問題の構造物のところで土地を分筆し、隣地の一部を譲り受ける方法や、現在の構造物の老朽化を待ち、取り壊して新しくするときに本来の境界内に新設する旨の覚書を交わしておくなどが考えられます。
土地の境界確定は土地家屋調査士の業務で行政書士は扱えませんが、覚書などの作成は当事務所でも扱っております。
次は、境界を越えてきた「木の枝」と、「木の根」の話。
これは、民法関連の読み物によく取り上げられているので、聞いたことがあるという方も多いかもしれませんが、一応書いてみます。
①隣の敷地に建っている木の枝が、境界を越えて自分の家の敷地に入っている。落葉の季節になったら困りますよね
隣人が切る様子もない場合、勝手に切ってしまってよいか?
②ブロック塀を作ろうと基礎工事で地面を掘ったら、隣地に生えている木の根が自分の家の敷地に入ってきている。勝手に切ってよいか?
という問題です。
結論は、①枝は不可、②根は可です。民法の条文は以下のとおり。
民法第233条
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
竹木の所有者ということは、隣の
土地の所有者や、
土地の賃貸人、隣地上の建物に住んでいる人ということではなく、あくまでも「木の所有者」に請求して切除
させる(自分で切ってはいけない)ということになっています。
まあ、土地所有者と木の所有者はおそらく同じだと思いますが・・・
枝と根で結論が違う理由は、以前、何かの本で読んだことがあるのですが・・・
すみません・・・
忘れました
うろ覚えですが、枝が不可なのは、由緒ある銘木の枝を切ってしまったら、木の価値が下がってしまうから・・・とかじゃなかったかな?
なら、根っこをズタズタにして木が枯れたらどうすんだ!と言われそうですが、根っこは重要視されていないようです。
くれぐれも、隣の家から越境してきた「木の枝」を切り取らないようにしてください。
根を自分で切るにしても、一声かけてからの方が無難ですね。隣地とは仲良くしましょう
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