2012年11月22日

クーリングオフの話 その3 電話勧誘販売ほか

こんにちは
行政書士の酒井です。

しばらく更新していませんでしたが、もともとあるHPをリニューアルしたり、新しくHPを作成したり、なかなかブログを書く時間がありませんでしたガ-ン

今回も前回から引き続き、「クーリングオフ」についてです。

前回は訪問販売取引でしたが、クーリングオフできる取引は他にもあります。
他の取引でも、勧誘に先立って氏名等を明示する点などは多くが共通ですのでそのような解説は省略します。
クーリングオフできる取引は以下のとおり。

【電話勧誘販売取引】

電話勧誘販売とは、販売業者または役務提供事業者が、電話をかけ、または特定の方法により電話をかけさせ、その電話において行う勧誘により、消費者からの売買契約または役務提供契約の申込みを郵便等により受け、または契約を締結して行う商品、権利の販売または役務の提供をいいます。

クーリングオフの期間は、法定書面の交付を受けた日から8日間です。


【連鎖販売取引】
連鎖販売取引とは、マルチ商法(ネットワークビジネス)のことをいいます。

マルチ商法(ネットワークビジネス)とは、商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法です。最近はインターネットメールを利用して販売・勧誘も行われるようになってきました。
取引を行うにあたっての不実告知や威迫困惑行為が禁止され、また、著しく事実に相違する表示や実際のものより著しく優良であるとか有利であると人を誤認させるような誇大広告をしてはならないことになっています。
会員を増やせば利益になる、誰でも簡単に儲けられるといった甘い言葉で勧誘してくる場合は注意が必要です。
マルチ商法自体は違法なわけではないのですが、甘い誘い文句にさそわれて販売員になってみたところ、出費に比べ思ったほど稼げず、無理な勧誘をしてしまうという問題があります。

クーリングオフの期間は、法定書面交付の日から20日間以内。または契約書面の交付より商品の引渡し日が遅いときは、引渡し日から起算して20日間以内

また、連鎖販売取引の場合は、クーリングオフ期間を経過しても、いつでも連鎖販売契約を将来に向かって解約(中途解約)することが可能です。

マルチ商法をねずみ講(無限連鎖講)と同じように捉えているかたがいますが、ねずみ講はマルチ商法と違い犯罪です。

ねずみ講とは、金品を払う参加者が無限に増加するという前提において、二人以上の倍率で増加する下位会員から徴収した金品を、上位会員に分配することで、その上位会員が自らが払った金品を上回る配当を受けることを目的としたものです。
参加する人が多かったとしても、人口そのものに限りがありますから、結果として、初期の一部の人間だけが大きな利益を得て残りはほとんど被害者となり、いずれ必ず破綻します。仮に「1人が2人のメンバーを勧誘する」ということを1日1回行ったとすると、1ヶ月もかからないうちに日本の全人口が同じねずみ講メンバーになってしまうというようなことを考えれば無理なしくみであることが分かります。

無限連鎖講はクーリングオフの問題にはならず、契約は無効ですから、最初から契約は成立しません。


【特定継続的役務提供取引】

特定継続的役務提供とは、エステティック、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚情報提供サービスなどの役務の提供、又はその役務の提供を受ける権利を販売することをいいます。

この役務には、「特定商取引法」に詳細な適用要件が定められています。
・エステティックサロン   期間1ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの
・語学教室          期間2ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの
・家庭教師          期間2ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの
・学習塾           期間2ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの
・パソコン教室        期間2ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの
・結婚相手紹介サービス  期間2ヶ月を超えるもので、金額5万円以上のもの

クーリングオフの期間は、法定書面の交付を受けた日から8日間です。

また、特定商取引法に定められた特定継続的役務提供契約である場合、クーリングオフの期間経過後に、中途解約することができます。


【業務提供誘引販売取引】

業務提供誘引販売取引とは、内職商法モニター商法資格商法と呼ばれているものです。

内職商法とは、パソコンやソフトを購入し、講座を受講後、ホームページ作成業務などを提供・紹介してもらう。チラシを購入し、配り、そこから売り上げがあった場合は、何パーセントかを貰える。というような商法をいいます。
モニター商法とは、浄水器を購入し、その感想などを提出すれば、モニター料が貰える。着物を購入すると、展示販売会でアルバイトできる。というような商法をいいます。
資格商法とは、講座を受講し資格を取ると、仕事を提供・紹介してもらえる。というような商法をいいます。国家資格ではないのに国家資格であるかのように説明したり、社会的に無価値な資格であるにも関らず、取得することにより就職が有利になる、今は民間資格であるが、将来的に国家資格になると勧誘したりします。

特徴として、
・業者が販売する商品を利用して、収入を得ることができる
・この商品を購入すれば、業者がその商品を使った仕事を提供する

など、最初に商品等の購入の負担(特定負担)があるものをいいます。

「お金がないから買えない」というと、「儲かるから大丈夫」「ローンで購入してもすぐ元が取れる」などと勧誘してきますが、仕事を提供してくれないといったようなトラブルが起こっています。

クーリングオフの期間は、法定書面の交付を受けた日から20日間です。


【クレジット契約、割賦販売】

訪問販売、電話勧誘販売、特定連鎖販売個人契約、特定継続的役務提供契約、業務提携誘引販売個人契約等に関する被害のかなりの部分に、それらの支払い方法となっていたクレジットの存在があります。

別の法律で消費者の利益を保護することができると認められるものを除き、原則すべての商品・サービスを規制対象とすることになっています。

クーリングオフの期間の起算点は、クレジット契約の書面の交付を受けた日からで、その期間は取引の種類(訪問販売、電話勧誘販売、特定連鎖販売個人契約、特定継続的役務提供契約、業務提携誘引販売)に応じて変わります。


【現物まがい取引】

現物まがい取引とは、「運用すれば絶対もうかる」、「有利な資産運用ができる」などと言葉巧みに勧誘して商品を販売するが、顧客に現物を渡さず、その商品の運用、管理、保管などを行うと称して、一定期間、預かり証等しか交付しないものをいいます。

業者によっては本当に現物があるかどうか疑わしいことがあり、このことから「現物まがい取引」、また預かり証等しか渡さないことから「ペーパー商法」、現物のオーナーになることから「オーナー商法」などという呼び方をされることもあります。

業者が破綻した場合には、商品も購入した際に支払った金銭も返還されないことが多く、深刻な消費者被害を引き起こします。

代表的な商品例として、貴金属、宝石、観音竹(観音竹商法)、和牛(和牛商法)商品によっては、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」による規制の対象となります。

クーリングオフの期間は、法定書面交付を受けた日から14日間です。


【宅地建物取引】

宅地建物取引のクーリングオフとは、宅地建物取引業法37条の2第1項1号に定められています。

要件は以下のとおりです。
・売主が宅地建物取引業者で、買主が個人である場合。
宅建業者である売主から依頼され、代理・媒介を受けた宅地建物取引業者と買主が買受の申し込み、または売買契約を締結した場合を含みます。
・事務所など以外の場所で買主が買受けの申込をし、または売買契約の契約をした場合
事務所などにおいて買受けの申込みをし、事務所など以外の場所において売買契約を締結した場合は、クーリングオフはできません。
・宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときでないこと
引渡しを受け、代金を支払っていない場合、または代金を支払ったが引渡しを受けていない場合はクーリングオフすることができます。

クーリングオフの期間は、クーリングオフできることの告知の日から8日間です。

クーリングオフでの不動産の契約解除ができない場合は、手付金放棄での契約の解除という方法もあります。(ただし、当事者の一方が契約の履行に着手するまで、という要件があります。)

ちなみに、不動産賃貸については、クーリングオフの対象ではありません。

通信販売はクーリングオフの対象ではありませんが、事業者が独自にクーリングオフ類似の特約を定めている場合が多いので、契約をする際や契約後にも、内容をよく把握して対処する必要があります。

ではまたパー

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